1990年代から現在まで、日本は「失われた20年」、「長期デフレ」にあると言われている。そのカギは中国だ、日本政府の金融・財政政策であるというよりは。そして、その背景に「経済のグローバル化」があり、更にそのきっかけは「米国発のIT文化」なのだ。
デフレが問題なのは実質賃金の減少により、物価も伸びず、税収も伸びず、GDPも伸びないことだ。しかし、この間日本企業の内部留保は上昇を続けている。また、企業が倒産し、失業率が異常に上昇し、日本経済が壊滅したのでもない。この期間に特徴的なことは日本企業の中国進出数が増加の一途をたどり、中国のGDPが急上昇したことだ。ただし、1980年代の勢いで日本国内の工業化が進めば、日本の自然環境は破壊されていただろうが、中国に工場を移転することで日本の自然環境は守られたとも言える。
これらは全て連動している。出発点は経済のグローバル化だ。即ち、「経済のグローバル化」→「競争の激化」→「人件費削減」→「中国への進出」→「国内人件費も中国並みに」→「実質賃金の低下」→「日本のDGPの停滞、中国のGDPの増加」という流れだ。
このデフレ時代直前には日本企業がアメリカ経済を脅かし、日本がアメリカを買収するのではないかとの懸念がアメリカに生じ、「日米金融戦争」などと呼ばれる状況にあり、特にクリントン政権は日本を仮想敵国するほど日本に脅威を感じており、日本を抑えるために中国に肩入れし、中国経済を優遇しました。この流れで中国経済は活性化した。
そして、90年代にはアメリカ経済もIT化の波に乗って復活し、日本との格差を広げ、超大国の位置を確保したが、IT技術に乗ったグローバル経済のせいで金融・技術は世界中に拡散し、むしろアメリカの影響力の低下が現れた。しかし、IT化の波、即ち、インターネットの普及とスマホなどのハイテク製品、社会の高度システム化が出発点だったことは間違いない。これは、16世紀の大航海時代に匹敵する大きな歴史的出来事なのだ。
IT関連の大企業、マイクロソフト、インテル、アップル、グーグル、フェイスブック、アマゾンなどは全て米国企業だ。まさに、IT技術が米国経済を復活させたのだが、インターネット文化にはもっと深い特徴がある。単に「英語文化」でなかったために日本企業が乗り遅れたのではなく、「一神教文化」でなかった日本がIT技術文化に乗り遅れ、アメリカに抑えられたと考えるべきであり、それが「失われた20年」をもたらしたのだ。IT・インターネット先端技術の開発には文化的な側面が大きく働いたのであり、その点からも日本も一神教の理解を深めるべきなのだ。