経済の基本は、物質生活で人間を幸福にすることであり、物質生活の基本は消費です。つまり、人間の消費を円滑にするのが経済です。
実際、生活を成り立たせる消費があって、消費の対象となる物品やサービスを提供する供給力が必要とされるのです。
例えば、生きるための食物への需要があって、それを消費できるように食物を供給する農業や水産業などが成立する。生活に必要な情報を得る需要があって、情報を得るためのテレビやインターネット、スマホを供給する科学、技術、工業、産業が成立する。社会の発展自体が消費を中心に構成されている。
物品やサービスへの需要があって、それを供給する産業が活性化し、社会が成立する。つまり、人々の消費力が供給力を生み、社会を発展させることになる。実際、日本社会はアメリカの消費力によってけん引され、日本の産業はアメリカの消費者の需要にこたえる形で発展してきた。しかし、いつまでもアメリカの消費に頼ることは、日本の自立にとって問題です。
また、中国の消費にも頼るようになっているが、中国という専制主義国に頼るのも健全ではない。つまり、日本の国内需要による日本の消費力によって日本経済と日本社会はけん引されるべきです。
日本の過去の30年にわたるデフレ、経済の低迷は、まさに日本国内の消費を軽んじたからです。それが、緊急財政策です。
1990年台初期のバブル経済の崩壊、デフレ下において、緊急財政策が取られ、国民の所得は伸びなくなった。つまり、消費力がなくなり、以後、30年間の経済低迷が続くことになった。企業が人件費を抑え、コスト削減と称して給与の伸びを抑え、当時の給与水準が日本の10分の1だった中国に日本企業の生産拠点を移し、国内では低賃金化を放置した。これで、国内の消費力は低下し、日本経済は低迷した。
企業が十分な消費力を従業員である国民に支払わない以上、政府が消費手当を国民に支給すべきだった。さすがに、コロナ禍の時には、政府は危機感を持って定額給付金を支出したが、そのような給付金として30年前から政府は消費手当を国民に供給すべきだった。
消費手当のほぼ全額が消費に支出されれば、その分だけGDPは増加し、経済は活性化し、企業収益は向上し、政府の税収も増える。
特に、低収入の1000万世帯に、消費手当として年間100万円を支給すれば、10兆円かかるが、その数倍の経済的効果が出て、GDPは30兆円は増える。このような経済対策を過去30年間に毎年続けていれば、今のGDPは800兆円にはなっている。
要するに、国内消費を維持し、上昇させるために、政府が国債を発行して財源とし、消費手当を国民に支給することで日本経済は発展を続ける。この消費手当は生活保護手当のようなものであり、非富裕層は全世帯が受け取るべきものです。
日本経済の活性化は、政府による消費手当の支給なのです。
