21世紀はニューヨーク/ワシントンの同時多発テロで始まった。冷戦に勝利し、ITバブルで浮かれていた米国や、デフレの中で利己的な経済活動に走る大企業主導の日本、キリスト教の2000年祭りで浮かれるヨーロッパにとって晴天のへきれきだった。その結果、イスラム過激派のテロが日常茶飯事になり、アメリカは巨額の国防予算を計上し、その陰でロシア、中国、北朝鮮が軍事体制を強化するという現在に至る潮流が生まれた。
まず、イラクが戦火に巻き込まれるが、イラクはメソポタミア文明発祥の地であり、4000年前にアブラハムの一族が出た土地だ。サダム追放後にISが恐怖支配を始める。他方、アフガニスタンには米軍が侵攻しイスラム原理派のタリバンと泥沼の戦争に入る。アフガニスタンはアレキサンダー大王のアジア遠征の到達点だった。やがて、アラブの春が始まり、カダフィが殺害され、エジプトのムバラクが失墜し、そして、シリアで内戦が始まる。シリアはローマ帝国の中東支配の根拠地だった。こう見てくると、4千年から2千年前の世界の中心・紛争地域が21世紀になって再び紛争地帯となって浮かび上がってくる。最大の要因はイスラム過激派とアメリカだ。アメリカは、ヨーロッパでキリスト教が停滞する中で最もこの宗教が活発に活動する国となっている。人類の4000年の歴史の鍵となった地域が、イスラム過激派とキリスト教のアメリカの激突を通して浮かび上がった。
2005年には21世紀の後半から30年近くも教皇の座にあったヨハネ・パウロ2世が亡くなり、後任のベネディクト16世は8年で生前退位し、1200年ぶりにヨーロッパ以外の地域出身のローマ教皇が選出された。バチカンも21世紀に入って大変革を迫られている。
このような世界史の過去を揺さぶる状況の中でロシア、中国、北朝鮮といった世界史の傍流の地域も自国の勢力拡大に走る。2001年の同時多発テロ以前には考えられなかった状況だ。また、イギリスがEUを離脱し、アメリカもトランプ政権下で核軍備を強化する。そして、日本は2011年の大震災と福島第一事故で天から警告を与えられている。これを単なる1000年に一度の大震災と考えるか、4000年の歴史を反省させる大変動が21世紀の世界で生じたように、日本にもその物質的な繁栄を反省させるきっかけを神が与えたと考えるかで大きな違いが出てくる。世界的には2001年、日本では2011年が神の警告だ。
世界では今でもメソポタミア文明の発祥地域、アレキサンダー大王やローマ帝国が戦った地域で戦争が続いており、4000年の人類の発展に疑いがもたれている。やがて、イスラエルにも戦火が飛び火する可能性がある。そうすれば、ユダヤ教・キリスト教の発祥の地で再び血が流される。世界で信仰が揺らぐ一方、日本は大震災を通して拝金主義からの離脱を迫られている。そう考えるか否かで日本人の運命も変わってくる。