2018年4月20日金曜日

21世紀の意義


21世紀はニューヨーク/ワシントンの同時多発テロで始まった。冷戦に勝利し、ITバブルで浮かれていた米国や、デフレの中で利己的な経済活動に走る大企業主導の日本、キリスト教の2000年祭りで浮かれるヨーロッパにとって晴天のへきれきだった。その結果、イスラム過激派のテロが日常茶飯事になり、アメリカは巨額の国防予算を計上し、その陰でロシア、中国、北朝鮮が軍事体制を強化するという現在に至る潮流が生まれた。

まず、イラクが戦火に巻き込まれるが、イラクはメソポタミア文明発祥の地であり、4000年前にアブラハムの一族が出た土地だ。サダム追放後にISが恐怖支配を始める。他方、アフガニスタンには米軍が侵攻しイスラム原理派のタリバンと泥沼の戦争に入る。アフガニスタンはアレキサンダー大王のアジア遠征の到達点だった。やがて、アラブの春が始まり、カダフィが殺害され、エジプトのムバラクが失墜し、そして、シリアで内戦が始まる。シリアはローマ帝国の中東支配の根拠地だった。こう見てくると、4千年から2千年前の世界の中心・紛争地域が21世紀になって再び紛争地帯となって浮かび上がってくる。最大の要因はイスラム過激派とアメリカだ。アメリカは、ヨーロッパでキリスト教が停滞する中で最もこの宗教が活発に活動する国となっている。人類の4000年の歴史の鍵となった地域が、イスラム過激派とキリスト教のアメリカの激突を通して浮かび上がった。

2005年には21世紀の後半から30年近くも教皇の座にあったヨハネ・パウロ2世が亡くなり、後任のベネディクト16世は8年で生前退位し、1200年ぶりにヨーロッパ以外の地域出身のローマ教皇が選出された。バチカンも21世紀に入って大変革を迫られている。

このような世界史の過去を揺さぶる状況の中でロシア、中国、北朝鮮といった世界史の傍流の地域も自国の勢力拡大に走る。2001年の同時多発テロ以前には考えられなかった状況だ。また、イギリスがEUを離脱し、アメリカもトランプ政権下で核軍備を強化する。そして、日本は2011年の大震災と福島第一事故で天から警告を与えられている。これを単なる1000年に一度の大震災と考えるか、4000年の歴史を反省させる大変動が21世紀の世界で生じたように、日本にもその物質的な繁栄を反省させるきっかけを神が与えたと考えるかで大きな違いが出てくる。世界的には2001年、日本では2011年が神の警告だ。

世界では今でもメソポタミア文明の発祥地域、アレキサンダー大王やローマ帝国が戦った地域で戦争が続いており、4000年の人類の発展に疑いがもたれている。やがて、イスラエルにも戦火が飛び火する可能性がある。そうすれば、ユダヤ教・キリスト教の発祥の地で再び血が流される。世界で信仰が揺らぐ一方、日本は大震災を通して拝金主義からの離脱を迫られている。そう考えるか否かで日本人の運命も変わってくる。

2018年4月8日日曜日

歴史と戦争


歴史は戦争によって作られる、とも言える。(特にアメリカは戦争によって作られた国だ。ブッシュも、トランプもうまくアメリカ人の好戦的愛国心に訴えてきた。)

日本では白村江の戦い(663年)、元寇防衛戦(12741281)、秀吉朝鮮出兵(15921598)、日清(1894)・日露戦争(1904~1905)、日中戦争(1937~1945)、太平洋戦争(1941~1945)があった。これは、世界の大国としては数が少ない。明治維新までは3度戦争しただけだ。島国であり、異民族とは隔離されていたのが日本の特徴だ。

この戦争はそれぞれ、天皇体制の確立・強化(白村江)、武家政権の確立・強化(元寇)、武家支配下における近代へ向けての民力の発展(朝鮮出兵)、国家の近代化・産業化(日清・日露)、アジアの覇権(日中)、太平洋の覇権(太平洋戦争)を象徴する戦争だった。

しかし、これらの戦いは世界の歴史と連動している。白村江の戦いはイスラムの勃興と同時期であり、元寇は十字軍の時代であり、朝鮮出兵はアメリカ発見などのヨーロッパ人の大航海時代であり、日清戦争から太平洋戦争は産業革命から白人の世界植民地化の時代だった。

特に、太平洋戦争は世界の第二次世界大戦の一部となり、アジア人対欧米人の戦いであると同時に、反ユダヤ・キリスト教的・反社会主義的・反民主主義の勢力に日本も組み込まれてしまった。戦争の結果、ユダヤ・キリスト教世界、社会主義勢力、民主主義が世界の主流となり、さらに、冷戦・ベトナム戦争・ソ連崩壊・中国の開放路線を通して今日のように資本主義・商業主義・科学技術主義の時代が訪れた。

日本では、世界の国々は資本主義・商業主義・科学技術主義でビジネス的に競争するだけであり、国々が戦争する必要などなくなったという考えが出てきた。しかし、現実には世界はそうなっていない。イスラム世界の危険な動向、中国の危険な戦略、ロシアの野心、絶えない世界の貧困と犯罪などとても世界は平和な商業主義社会になったとは言えない。

宗教的には、キリスト教の権威が低下し、欧米人がキリスト教の原則にこだわらなくなった分だけユダヤ教に対する偏見がなくなった。しかし、欧米人の一部となったユダヤ人とは異なり、イスラム教徒は非ヨーロッパ系であり、欧米化の後進地域であり、ユダヤ・キリスト教とは異なった価値観と生活観を持っている。非宗教性を強めるユダヤ・キリスト教徒とは際立った対照を示している。おまけに、中国・インドも欧米のユダヤ・キリスト教の伝統はない。まだ、大戦争に匹敵する事件が生じてもおかしくない。神が唯一の存在であるなら、日本も含めて人類の宗教も1つのはずであり、いずれ、全てが収束するとしても・・・