日本の文明の発端は後期旧石器時代の黒曜石や縄文時代の土器というよりは、紀元前4~2世紀に埋められたとされる銅鐸だ。しかし、銅鐸は朝鮮又は中国南部からもたらされた。銅鐸は弥生時代のアジア大陸との交流を象徴しているが、明らかに日本の社会に階層の文化をもたらした象徴的祭器である。
紀元1世紀頃は稲作技術と共に銅鐸を伝えた渡来人が日本の中に入り込み、縄文以来の平等な日本の社会にとっては危機が生じていたかもしれない。次いで、朝鮮の白村江での唐・新羅との戦いの7世紀、そして元寇の13世紀、ヨーロッパからの宣教師と背後のカトリック勢力に対する警戒から徳川幕府が鎖国を行った17世紀、黒船に対する危機感から開国した19世紀、そして、アメリカ・英国などの包囲網に対する危機感から第二次大戦に参戦した20世紀と日本の社会は海外との関係において定期的に危機を迎えていた。
しかも、その間隔は銅鐸から白村江の戦いまで800年以上、白村江から元寇まで600年、元寇から鎖国まで400年、鎖国から開国まで200年、開国から太平洋戦争まで100年と間隔が縮まってる。今では、もう20~10年単位で米ソ冷戦、日米金融戦争、中国との冷戦、北朝鮮の核・ミサイルなど日本は海外からのさまざまな脅威に直面してる。
しかし、日本人も座して海外からの脅威を待っているわけではない。バブル崩壊後、中国などの海外の安い労働力を求めた日本企業の海外での展開が顕著になっている。2017年の 財務省の発表によれば、日本の政府や企業、個人投資家が海外に持つ資産から負債を
差し引いた平成28年末時点の対外純資産残高が349兆1120億円となり、日本は平成3年から26年連続で世界最大の債権国となっている。
こうなると、もはや世界の危機が日本の危機になり、孤立した日本独自の危機というものは無意味になる。金融界では既に1990年代からグローバル化が達成され日本もそのプレイヤーとなり、米国発のリーマンショックで日本でも自民党政権が倒れ民主党への政権交代が起きた。しかし、民主党の政治家にはセンスも能力もなく国政に混乱をもたらした。
安倍政権が支持されているのは国際金融の研究に基づいたアベノミクスの成果だが、国際的な八方美人を演じているだけでは将来の国際的な危機には備えられない。
ただ、人類的な観点からは本当の危機は西暦2600か3200年になると考えられるから、まだ人類自体に余裕がある。それでも、今が大きな節目なのは間違いない。イスラム地域や中国が歴史的な使命感を持っていないだけに、日本人の自覚が重要だ。