2021年9月23日木曜日

1945年以降の日本の正しい歴史観

日本は敗北した。

300万人が戦死し、外国軍隊が日本に駐留した。そして、1945年8月15日の無条件降伏から1951年9月8日のサンフランシスコ講和条約・日米安全保障条約調印まで、日本は主に米軍の支配下にあった。

その間、アメリカのマッカーサー元帥が日本国憲法の草案を起草し、天皇を元首から象徴役の特殊公務員とし、国民を主権者とする革命的な体制変革をもたらした。これが、戦後の日本の基本となった。

現在にいたるまで、この憲法の枠組みに反対する声は日本国民の間から聞こえない。明治維新以来の天皇制を極限にまで強化して戦った1941年~1945年の日米戦争で、軍部と天皇家が推進した天皇絶対制は敗北し、日本は欧米連合国と中国・ソ連の支配下におかれた。日本の歴史以来、有り得なかった出来事が生じた。それでも、天皇家を中心とする伝統的な保守派は生き延びた。

そもそも米国キリスト教徒のマッカーサー元帥が目指したのは、日本が米国キリスト教に基づいた民主主義国家となることだった。しかし、日本統治を円滑に行い(終戦時には、中国大陸にはまだ100万人の日本兵がいた)、中国・ソ連の影響を除きたかった米国政府とマッカーサー元帥は、天皇家の保護が円滑な日本統治に必要だと認め、天皇家の温存を決めた。そして、天皇を擁して本土玉砕(自殺戦争)を図った狂気の帝国軍部に恐怖し、愛想をつかした天皇家は、マッカーサー元帥、米国政府に完全にすり寄って、生き残りを図る。これが、戦後の日本の政治体制の基本となった。憲法上は、「国民」ですらない天皇を、憲法上の主権者「国民様」の上に「象徴」として置き、その上に米国政府が君臨するという体制が出来上がった。しかし、それでも日本人には、大化の改新以来の天皇家による洗脳から脱する道が開けた。そもそも、明治維新の時、坂本龍馬が西郷隆盛を大統領とする維新体制を完遂できれば、先の大戦で300万人の日本人が戦死することもなかった、ということになる。(幕末に、徳川慶喜が大統領となる新体制を模索していた幕府の、隠密組織が龍馬を暗殺したのも皮肉な悲劇だった。)

1945年の日本の敗北で、300万人の戦死者が怨霊となって天皇家に憑りつくことになった。実際に、天皇が1941年に、命をかけて日米戦争に反対していれば、真珠湾攻撃は起こらなかった。1945年の沖縄戦、広島・長崎への原爆攻撃もなかった。戦後、東條大将の絞首刑で、米軍による日本の戦争責任への追及は終わり、天皇家は東條家を見捨てた。しかし、300万人の戦死者の怨霊は天皇家の断絶を求めていると思われる。女系天皇や、旧皇族の復帰なども議論されるほど、天皇家は霊的に追い詰められている、と言えなくもない。

戦後の日本の文化、政治、経済ですら、決定的な飛躍を遂げられなかったのは、このような正しい歴史観の欠如による。また、90年代に日本のGDPが世界の第二位となりながら、日本が世界で主導的な地位を確立できなかったのも同じ理由による。

日本が東アジアのユニークな疑似王国(象徴天皇制国家)で終始するのか、世界史の主流に参画し、世界で指導的な地位を目指すのかは、このような正しい歴史観を持てるか否かにかかっている。

なお、世界の主流はユダヤ・キリスト教文明であり、ユダヤ・キリスト教・イスラム教の一神教文化です・・・

(中国はなりふり構わず、ユダヤ・キリスト教文明の成果を取り入れ大国化した・・・しかし、中国の伝統的な皇帝制を目指す中国共産党も世界史と世界の主流にはなれない。)