岸田新総裁は、経済を最大の課題として挙げた。
コロナは、1回だけだが政府に定額給付金を国民に無条件に支給させた。コロナの最大の教訓というべき政府の施策だった。
90年代以降、日本はデフレに見舞われたが、その原因は消費の低迷だった。消費が低迷したのは賃金が90年代以降、抑えられたからだ。その原因は、中国の低賃金の労働力の利用にあった。企業は、日本の労働者の賃金の10分の1という中国の労働力を利用して、利益の確保を図った。そして、日本の労働者の賃金水準も抑えれることになった。全て企業の利益の確保のためである。
90年代には、まだ世界をリードしていた日本のエレクトロニクス業界も、低賃金の中国、韓国、台湾の労働力を利用しているうちに、技術や人材が流出し、テレビ、PC、携帯電話など、さまざまな分野でシェアを奪われることになった。
そして、企業は激化する国際競争の中で利益確保のために給与水準を抑え、人件費を抑えた。その結果、国民の消費力は抑えらえ、デフレになり、金利もゼロになり、財政・年金にも危機が生じた。
アベノミクスは金融部門を活性化し、株価も復活し、ある程度経済の活性化をもたらしたが、本質的な消費の活性化はたらせなかった。企業の姿勢は変わらなかったし、古い財政思想に縛られた財務省も新たな経済思想を受け入れなかった。
しかし、コロナの緊急事態で、国民がコロナで収入がゼロになれば、経済も財政も成り立たないことに気がついた政府は、定額給付金の支給に踏み切る。しかし、1世帯10万円の支給が1回だけでは不十分である。定額給付金を経済のベースとすべきだ。
労働・勤労・経済活動の対価・報酬・成果として収入を得るのは自由であるが、国民はその収入を社会の福祉、国家の経済のために使うとは限らない。社会の福祉、国家の経済のためには消費と税収が基本であり、そのために給付金を国民に支出するのは当然である。特に、低所得層は給付金を全て支出にまわすので、企業の利益、税収確保につながる。
まずは、政府は定額給付金を支給し、最低限の国民生活・消費を保証し、税収を確保するのが、国家体制の維持に必要だということである。これがコロナの教訓だということになる。