2022年3月28日月曜日

「霊」と「死後の世界」の問題より、貧乏人の救済が大事! それでも、「霊」重視の宗教が必要!

                                                    
 
悪人は、死後の世界が存在することを知っても、この世での生き方を変えることはない。また、地獄があると聞かされても、悪事はやめない。

それは、地獄に落ちたユダヤ人の金持ちが、まだ生きている自分の兄弟は地獄に落ちないように、死後、天国に入った貧乏人のラゾロを彼らに遣わして、生き方を変えるように言ってくれと、霊界で高い地位にあるユダヤ人の始祖、アブラハムに頼むという聖書の話しに現れている。この頼みに対してアブラハムは、たとえ死からよみがえった者が忠告しても、金持ちは生き方を改めないと言っている。
ルカによる福音書第16章
27 そこで金持が言った、『父よ、ではお願いします。わたしの父の家へラザロをつかわしてください。
28 わたしに五人の兄弟がいますので、こんな苦しい所へ来ることがないように、彼らに警告していただきたいのです』。
29 アブラハムは言った、『彼らにはモーセと預言者とがある。それに聞くがよかろう』。
30 金持が言った、『いえいえ、父アブラハムよ、もし死人の中からだれかが兄弟たちのところへ行ってくれましたら、彼らは悔い改めるでしょう』。
31 アブラハムは言った、『もし彼らがモーセと預言者とに耳を傾けないなら、死人の中からよみがえってくる者があっても、彼らはその勧めを聞き入れはしないであろう』

イエス・キリストが語ったこの聖書の中の話は象徴的です。悪人(金持ち)は、死後に地獄に落ちると聞かされても、生き方は変えないということです。

これは、霊能力者が、必ずしも善人とは限らないということも意味している。死後の世界はあっても、この世以上に霊界で幸福に生きれれると信じている霊能者も多い。

また、臨死体験者の大部分も、「臨死状態で死後の世界の中の地獄を見た」、と述べる者は少ない。臨死体験で霊界の入り口まで行っただけでは、さらにその後の進む先が、生前の生き方に従って、天国と地獄に別れるところまでは見ないで、臨死状態から回復することが多い。だから、霊界の入り口の幸福感や愛の満ちた雰囲気しか伝えない。

18世紀の科学者のニュートンと同時代の霊能者スウェーデンボルグは、当時、生きながら霊界を見てきて、その体験を多くの書物に著わしていますが、「人の魂は死後、善を好む者は霊界から天国に進み、悪を好む者は霊界から地獄に進む」と述べています。つまり、あの世を信じるだけでは不十分で、あの世、即ち、死後の世界は天国と地獄に別れているのを理解する必要があるのです。

なお、モーセの教えとは、「殺すな、盗むな、姦淫するな」などの基本的な道徳的な教えを述べたものです。悪人の悪に対する性向は、地獄の存在を聞かされても止むことはない、というのが聖書の教え、即ち、イエス・キリストの教えなのです。

特に、霊界にいる悪霊、地獄の悪魔は、人間の霊に働きかけて、又は、人間の霊を支配し、狂わせ、破滅させるとスウェーデンボルグは書いています。つまり、霊能者の心も悪霊や悪魔に支配される可能性があるのです。

霊能力によって新宗教を起こすような人間でも、その能力に溺れ、やがて傲慢になり、自分を神と同格とみなす場合があります。「人間は神が作られたので、誰もが神の子だ」であるとか、「誰の心の中にも神性があり、神と同格になり得る」などというのは、信仰の欠如だと考えられます。

イエス・キリストは「人間は肉から生じたものであり、神は霊である」と仰っています。つまり、「人間は下のものであり、神や天使は上のものである」として、人間と神とを明確に区別されています。人間は神性を目指して、愛と真理を求めるべきものであり、「人間の本質の中に神がいる」というのは悪魔の教えなのです。

「死後の世界などない、死ねば全ては終わりだ。たった一度の人生だから好きなことをしろ」というのも悪魔の狂った教えですが、「人間は、誰でも死後は霊界で幸福に生きれる」というのも悪魔の狡猾な教えです。さらに、輪廻転生を説き、「生まれる前には前世があったし、死後はまた生まれ変わる」から、今の生にはこだわるな、という教えもイエス・キリストの教えとはかけ離れたものです。

今の世の中で苦しむ人を救うのがイエス・キリストの願いでした。人が苦しむのは、大部分は貧困のためであり、周囲の欲に駆られた悪人によるのです。つまり、貧乏人を金持から救うのがイエス・キリストの使命であり、そのために、「この世では貧困や、周囲の悪に苦しめらていても、死後は、天国で幸福になれる」という教えを人々に伝えたのです。

このイエス・キリストの働きを妨害するのが悪魔なのです。悪魔は、「死後はない、魂はない、霊界はない、地獄もない、たとえ、霊界があっても、この世で金持ちであることは何の問題にもならない、おまけに、神はお前の中にいて、お前も神だ」などと、狂った想念を人間の心に吹き込むのです。

霊や死後の世界について関心を持ち、探求したければ、まず、聖書を読むべきなのです。テレビで人気の霊能者の中には、テレビなどでの自分の成功を誇り、その心の隙に悪魔が入り込んでいる例もあるようです。また、霊能力を売り物にする新宗教の教祖も、その能力を誇って神の教えを軽んじ、悪魔に付け入れられることも多いようです。

霊問題は、まず、キリスト教や仏教という2千年以上の伝統を持ち、悪魔や悪霊との長い戦いの歴史がある伝統的な宗教を通して扱うのが安全なのです。

ただし、伝統的な宗教が霊問題を軽んじてきたのも事実ですから、キリスト教も仏教も変革を求めらています。驚くべきことですが、霊の存在を認めない牧師・神父や、霊界の存在も信じない僧侶もいるのが現実です。今世紀中には、全ての宗教は一新される必要があるのです・・・