富士山
「死後の世界」や「霊界」については、日本でも縄文時代以来、神道や仏教などでさまざまな形で伝えられているが 、近代科学の発祥の地のヨーロッパやアメリカでも深く研究されている。
しかし、明治維新で欧米の近代科学を取り入れた日本では、そのような欧米の霊的研究は取り入れられなかった。むしろ、死後の世界や霊界については、「迷信」だとして無視されてきた。そして、宗教は「天皇家神道」のもとに統一され、キリスト教だけでなく、幕末以後の新宗教は抑圧され、神仏の分離政策によって仏教ですら軽んじられた。その結果、1945年の第二次大戦の敗戦で、300万人の国民が戦死するまで、天皇家神道による国民支配が続いた。
戦後は、宗教は自由となり心霊研究も抑圧されることはなくなったが、日本の体制主流派は心霊研究や超能力研究には否定的であり、その方面の研究は、欧米や中国/ロシアより遅れを取っている。むしろ、日本の科学者の中には、「超能力者」をテレビで攻撃して利益を上げる者もいたし、週刊朝日などは超能力つぶしで売上を上げた。
日本人でキリスト教や西洋文化を研究した者は、「フランスやイギリスの霊的研究、心霊治療」などの普及に驚き、また、「アメリカの超能力研究や死後の世界の理解」に驚く者も多い。特にアメリカや中国/ロシアでは超能力の軍事的応用が進んでいると考えられる。中国の経済発展の陰には超能力スパイの活躍があり、ロシアの国際的な地位の強化にも超能力スパイの活躍があったと考えられる。しかし、天皇家神道が敗戦で無効なことを知った日本は、政府が心霊問題の研究を忌避している。天皇家にももはや「霊的能力」は失われている。
しかし、市民レベルでは霊的能力を基本とする新宗教への関心は高く、一般世間でも「拝み屋」や「占い師」と称する霊能力者は尊重されている。ただし、彼らは神道系、仏教の真言系、旧修験者系であり、欧米のようなキリスト教から派生した者はいない。キリスト教が本来、「霊的な宗教」であることは、一般には知られていない。
それでも、ユダヤ民族と天皇家のつながりを主張する者もいる。ただし、歴史的/科学的な考証は曖昧である。また、1995年のチベット仏教/ヨガ研究から派生したオウム真理教のテロ事件、2022年のキリスト教を曲解した旧統一教会の影響による安倍銃殺事件などによって、新宗教への警戒感が市民の間にも広がっている。それでも、拝み屋や占い師と称する霊能力者には根強い需要がある。人々は本能的に「霊能力」や「超能力」の存在は認めているが、それと宗教との結びつきは曖昧であり、ましてや、キリスト教との結びつきは理解されていない。それでも、「ヨーロッパの心霊主義」では明快に、死後の世界や霊界について説明が行われてる。
特に、スウェーデンの「エマヌエル・スウェーデンボルグ(1688~1772)」やフランスの「アラン・カルデック(1804~1869)」の著述は欧米ではよく知られている。
「天国は一つの天国の上にもう一つの天国が広がっているといった配置になっていて、天国の下に精霊界があり、その下に地獄がある」と、生きながら死後の世界を見たスウェーデンボルグは述べている。「霊の世界、つまり物質を伴わない知性の世界が存在する」と死者とのコミュニケーションを交霊会で行っていたカルデックは述べている。
神道や仏教の「カミ」や「ホトケ」も、天国にいる天使や精霊のことだと考えられる。世界の一神教では、この世やあの世を作った神様は1つだとの信仰に基づいている。この意味で、キリスト教の神様は物質界と霊界の創造者であり、その下に「カミ」や「ホトケ」と呼ばれる大霊が存在することになる。つまり、仏教や神道の信徒であっても、キリスト教を信じることができることになる。従って、スウェーデンボルグやカルデックの言葉を受け入れても問題はない。仏教や神道の難解な表現ではなく、平易な表現のスウェーデンボルグやカルデックの主張は現代人には分かりやすい。
つまり、欧米発の近代科学を学んだ日本人は、同時に、スウェーデンボルグやカルデックの心霊研究を学ぶ必要がある。それは、仏教や神道を否定するものではなく、むしろ世界の文明の正統の心霊研究を日本人の霊性に取り入れることになる。特に、彼らの死についての説明は、「臨死体験」とも一致し、現代の日本人の霊的体験とも一致するものである。
しかし、西欧のオカルトやスピリチュアルの源流は、「キリスト教の霊性」に求められる。日本人も真摯な仏教や神道への信仰が無ければ、心霊主義も「呪術」や「呪いの世界」につながりやすい。拝み屋や占い師をそのような意味で利用する者もいる。政治の主流、権力者は呪術や呪いを恐れる。古代の天皇家の周辺でも呪術や呪いが日常茶飯事であり、聖徳太子の時代から源氏物語まで、そのような心霊主義が基本になっている。実際、心霊主義が個人の問題だけではなく、社会的な問題に関わって来ると問題が深刻になる。
人々が政権支配者を呪いの力で倒そうとすれば、収拾がつかなくなる。古代中国の王朝交代も「呪術戦争」で生じたと思われる。しかし、儒教によって古代中国社会も秩序が成立した。日本では、天皇家神道に心霊主義を集中させることで、社会の秩序が成立した。心霊主義や超能力は国家体制を揺るがす可能性があり、現在の日本の体制側のメディアも、極力、心霊主義や超能力を抑圧しようとする。そのために、日本では心霊主義や超能力の国防への研究もなされていない。ただし、第二次大戦中にアメリカのルーズベルト大統領が病死したのは、日本の霊能者の呪術によると思われる。恨みや呪いは、呪術と結びつくと恐ろしい効果を発揮する。日本の首相や元首相の中にも、呪術の影響で亡くなった者もいると考えられる。
つまり、心霊主義につながるオカルトや新宗教には危険な一面がある。法律で取り締まることもできない精神作用による犯罪が成立する。「超能力も悪人が利用すると危険」だというのが普通の常識です。それだけに、キリスト教、仏教、神道などの伝統的な宗教の裏付けのない、呪術、呪い、魔術は回避すべきなのです。
ところが、21世紀の「時代の終わりの悲劇」が人類に迫って来るにつれて、「反キリスト的な人間」が、心霊主義で人々を惑わす傾向が強くなっている。日本だけでなく、世界中でこのような霊的な危機が生じようとしている。中国やロシアの独裁政権にもこの傾向が見られる。
オカルトや心霊主義は全面的には否定することはできないし、究極的には人間の救いにつながるものだが、場合によっては危険な道であることは理解しておくべきです・・・