岸田首相は「新資本主義」を唱えている。
そもそも経済は、消費者が基本です。商品を必要とする消費者がいるから、商品を提供する企業活動が成り立つのです。そして、消費者は勤労者として企業で働き、給与を得ます。そして、その給与で商品を購入して経済を回すのです。
日本経済の問題は、企業が利益を維持するために、給与の支出を低く抑え、企業の内部留保を増やしたことです。1990年代から20年以上続いたデフレの失われた20年の間、中国の人件費は日本人の10分の1でした。そこで、企業は大挙、中国に進出した。そして、日本の給与水準は据え置かれた。これが、消費の低迷とデフレをもたらしたのです。
その結果、日本社会には停滞感が生じ、少子化がもたらされた。他方、中国は日本の技術と資本を導入して産業の活性化を果たした。中国は、国策的に欧米・日本の技術を違法に盗み出し、産業のハイテク化を果たした。90年代には世界を制覇した日本のエレクトロニクス産業は停滞の道を辿り、テレビもスマートフォンも生産・販売の勢いを失った。日本の大手企業が、日本経済より自社の利益を優先した結果、日本人の給与を抑え、中国などのアジアに資本・技術の移転をした結果です。アメリカも製造の空洞化が生じ、労働者の危機感がトランプの台頭を許したわけですが、アメリカには巨大IT産業や、強力な金融産業がある。日本の方がはるかに深刻です。
日本経済を活性化するには、適切な消費水準を維持することです。そのためには、日本の企業に給与水準を上げさせる必要があることに、岸田首相は気が付いたと思われる。
さらに、非正規社員、低所得者などの消費を維持・活性化させるには、政府が支給金を出す必要がある。この支給金は当然、貯蓄ではなく消費に使われるような仕組みを考える必要があるが、新資本主義とは、単に企業利益の分配先を勤労者に広めるだけでなく、支給金を経済(消費)の基本とするという発想の転換が必要なのです。「支出金経済」を確立すべきなのです。
国の借金は1000兆円になるという警告を、財務省の幹部などが警告しているが、従来的な財政観ではなく、革命的な財政観を持つべきです。政府からの支出金は、消費に使われた分だけを政府紙幣で裏付けし、例えば、1年以内に支出されない支出金は非貨幣化する。要するに、日銀は100%消費に使われる支出金だけを日銀紙幣として認め、政府は支出金に関わる消費から利益を得る企業からの税収でバランスを取る。
又は、国の資産についての評価方法を見直す。国内の企業、個人の資産は全て国家の資産一部だとみなし、何らかの仕組みで政府の赤字を相殺させる。
「支出金=>消費=>企業収入=>給与と税収」が基本です。経済は、政府からの支出金から始まる、という新たな発想を取るべきです。
コロナを契機として、全面的に経済観、財政観を一新すべきです。経済や財政、企業の内部留保より、一人々の国民の生命を優先すべきです。昨年の10万円の定額給付金で救われ、自殺をしないで済んだ社会的弱者も多くいたはずです。もう一度、10万円の定額給付金を政府は支出すべきです。安倍政権にできたことを、岸田政権ができないはずはない・・・