ヨーロッパの文化はヘレニズム(古代ギリシア)、ヘブライニズム(古代ユダヤ教)、キリスト教(ローマ帝国以降)の伝統が基礎になっている。
だから、今も古代ギリシア文明は欧米人から尊敬されており(オリンピックは古代ギリシア発祥、哲学者プラトンは今も学問の始祖として尊敬されている)、また、ユダヤ人は欧米で強い存在感を持っており(富豪ロスチャイルドや科学者アインシュタインはユダヤ系)、ローマ帝国でキリスト教が国教となって以来、ヨーロッパ文明はキリスト教を基盤とした(EUはバチカン、イギリスは英国国教会、ドイツはルターのプロテスタント発祥の地、東欧/ロシアは正教会)。欧米文明が支配する世界を理解するには、ヘレニズム、ヘブライニズム、キリスト教を学ばなければならない。中でも、ヨーロッパ文明から派生したアメリカ文化とその民主主義を理解するには、キリスト教の理解が鍵です。そして、戦後の日本の繁栄はアメリカのキリスト教的民主主義に基づいた日本国憲法を受け入れたことから始まった。つまり、間接的に日本もキリスト教の影響下にある。だから、日本は中国などと違ってG7のメンバーとして欧米の先進国に受け容れられてきたのです。
しかし、日本の霊性は欧米とは異なる。欧米キリスト教世界が混乱、停滞、腐敗する中で、日本の役割が期待されるのも、この点にある。
その日本の霊性は、1万年の歴史を持つ縄文時代の霊性が基盤になっている。約16万年前にアフリカで生まれたミトコンドリアのイブの子孫がアフリカを出て、ユーラシア大陸を横切り、10万年前には人類が日本に到達し(島根県出雲市の砂原遺跡)、1万5千年前には世界最古の土器を生み出して以来、日本人は日本列島で生きて来た。特に縄文時代にはその霊性が確立したと思われる。
紀元前3世紀に中国・秦帝国から道教の方士(呪術者)の徐福が日本に到来し、その子孫が九州などに勢力を伸ばしたが、徐福の子孫からは秦帝国とのつながりは忘れられた。紀元2世紀には縄文人の子孫の卑弥呼が現れて、当時、稲作地帯だった大和の女王になった。しかし、徐福の子孫と思われる神武天皇が大和を攻略し、卑弥呼の子孫は古代中国からの文化的優位を持った天皇家に征服され(銅鐸文化から銅鏡文化への移行)、天皇家の支配が始まったが、縄文の霊性は生き残った。ただし、日本の古代史は断絶され、卑弥呼は謎の存在となった。天皇家の出自も神話の世界で曖昧にされた。
呪力に優れた天皇家は古墳時代を通して西日本を征服し、仏教を導入して更に霊力を高めたが、朝鮮半島で中国の唐と戦って敗戦し(白村江の戦い)、仏教の権威に頼りながら藤原京、平城京、平安京と遷都して政権を維持し、空海や最澄の密教によってようやく安定し、さらに陰陽道も取り入れて朝廷の安定を図った。しかし、平安時代末には、浄土宗などの動きと結びついた武家が台頭し、鎌倉政権が誕生し、新たな仏教各派が出現し、その霊力によって元寇も打ち負かした。その後、密教と結びついた後醍醐天皇の動きの後、禅宗などと結びついた室町幕府の時代となり、やがて、各大名が仏教の呪力に頼って勢力を伸ばし、戦国時代となった。そして、ポルトガル船がもたらした鉄砲を活用した信長が既存の朝廷・仏教勢力と対立して切支丹を優遇し、大きな勢力を持ったが、敵対勢力によって密教などの呪力によって本能寺で倒れた。後を継いだ秀吉は朝廷と結びついたが、霊力のない朝廷は秀吉の朝鮮出兵も支援できず、豊臣家は家康に負かされ、密教の力を知っていた家康は天海などの天台密教と結びついて政権を安定させた。江戸時代は、幕府と結びついた仏教勢力の時代だったが、幕末には天皇家をかついだ反幕勢力が権力を握り、天皇神道を事実上の国教とし、後の軍部・官僚も天皇神道の下で勢力を伸ばす。幕末にはさまざまな新宗教(天理教、金光教、黒住教、大本など)が生まれ、その霊力によって日本は日清・日露戦争には勝ったが、天皇神道以外は冷遇されたため(大本弾圧など)、日本の霊力は失われ、第二次大戦でキリスト教国のアメリカに敗戦し、アメリカのキリスト教的民主主義を受け入れて今日に至っている。要するに、日本という民族固有の世界の時代は終わって、日本は世界文明に組み入れられた。
ただし、日本の本来の霊性と天皇神道の影響は今も存在し、仏教や密教と共に併存している。それでも、第二次大戦後は新たな新宗教が生まれ、特に、心霊主義に基づく新宗教が社会に浸透し、超能力ブーム、オウム事件を超えてスピリチュアルな関心は人々の間で高い。今も祈禱師、拝み屋、真言密教僧などは存続している。しかし、日本人はキリスト教の威力は認めていても、歴史的・文化的な障壁からキリスト教の霊性は浸透していない。
しかし、本来のキリスト教の霊性は、日本の霊性に基づく清貧主義に近いのです。日本の歴史を振り返るとき、仏教や神道の霊的洗礼を受けた後で、日本の霊性が直面すべきものは、世界の主流の一神教のキリスト教の霊性であることは、当然だと思われる。
今も、世界のスピリチュアルな世界の基本は18世紀のスウェーデンボルグの霊界体験です。スウェーデンボルグは、イエス・キリストを神として認めて霊能力を高めた。世界の心霊主義でイエス・キリストの権威を否定するものはない。死後の世界は、イエス・キリストの神が支配し、その権威の下にさまざまな大霊が存在し、さまざまな宗教が存在すると考えるべきです。中国の道教、日本の神道、仏教も唯一の神の支配下にあると考えるべきです。
日本の霊的な完成は、心霊的にイエス・キリストを受け入れることだと考えるべきです。ちなみに、日本人も聖書を読んで霊性をさらに高めれば、霊能力を高めることができる。そして、聖書を学んだ上で日本の伝統的な清貧生活を送れば、欧米のキリスト教徒以上の力を発揮できるのです・・・