2022年1月1日土曜日

リンカーンも田中正造も信じたスウェーデンボルグの思想とは?

 

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リンカーン、ヘレンケラー、田中正造、鈴木大拙は、18世紀のスウェーデンの心霊家、スウェーデンボルグの思想に影響を受けていたということは、一部のキリスト教関係者にはよく知られている。

さらに、前のアメリカ大統領の一族、ブッシュ家の先祖も、その周辺にいたと言われる。日本でスウェーデンボルグを最初に紹介したのは、禅の研究で世界的に著名な鈴木大拙だと言われるが、日本の初代の文部大臣の森有礼や元仙台藩士のキリスト者、新井奥邃も明治時代にスウェーデンボルグの思想に触れていた。さらに、戦前に来日経験のあるインドの神秘家、サンダー・シングもスウェーデンボルグを崇拝していた。

霊界を体験し、独特のキリスト教教義を広めようとしたスウェーデンボルグは、現代の心霊主義者やキリスト教徒に深い影響を与えている。日本のスピリチュアリズム関係者もその影響下にある。霊界や死後の世界を論じる世界中の人の思想の背後にスウェーデンボルグがいると言っても過言ではない。

ニュートンと同時代の18世紀に、30年間にわたって生きながら霊界を体験したスウェーデンボルグは敬虔なキリスト教徒であったことが、最近のスピリチュアリズム関係者とは異なる。何十冊にも及ぶ彼の著作は、キリスト教的な観念・用語が溢れており、単に霊界訪問記を期待して読めば理解できない部分も多い。しかし、その趣旨は明快です。即ち、(1) 人間の魂は死後に霊界で永遠に生きる、(2) 善人は霊界から天界に入り、(3) 悪人は自ら地獄に行く、(4) 地獄に入るような邪悪な霊は、霊界から人間界にも侵入し、人間を破滅させようとする、(5) その邪悪な霊の害から、この世の人間を守っているのは神様である、(6) 神は霊界の浄化のために何回か最後の審判を霊界と人間界で行った、(7) 人間の霊的状況は歴史と共に悪化しているので、最後の「最後の審判」の後で、神様は人間界を亡ぼすかも知れない。

これは、要するに聖書のイエス・キリストの言葉と同じです。歴史の中でキリスト教会が霊性を失って聖書を霊的に理解できなくなって、キリスト教世界や人間社会が堕落・腐敗するのを心配したイエス・キリストの霊が、スウェーデンボルグに霊界を見せて、その状況を人間に知らせるように導いたと考えられる。

スウェーデンボルグの思想では、教会のメンバーだけが真のキリスト教徒ではなく、他の宗教を信じる人間でも、万物の創造主である神を認める人間は、霊界で天界に受け入れられることになる。仏教や神道の影響下にある非キリスト教徒の日本人でも、万物の創造主である神を認めれば、霊界で天界に入ることができる。仏陀の上に万物の創造主である神を認め、日本神話の神々の上に万物の創造主である神を認めれば、真のキリスト教徒と同じように、霊界から天界に入り、永遠の命を与えられることになる。これが、スウェーデンボルグの思想の真の意味です。

霊、霊界、スピリチュアリズムの上には、万物の創造主である神が存在し、その神が2千年前に人間界にイエス・キリストを派遣したと考えるべきなのです。

ただし、スウェーデンボルグのように真摯な信仰を持つことが必要です。カネ儲けを目指す新宗教や娯楽的な心霊主義では、悪霊や悪魔に支配される危険があるのです。あくまで、伝統的で正統な宗教観が基本なのです。霊能力者や霊媒、超能力者、神秘家と呼ばれる人たちも悪霊や悪魔に支配される危険がある。あくまで、神性、善性、道徳性をもった人だけが信用できるのです。信用できるか否かは、イエス・キリストの教えによれば「神への愛と、隣人愛」が見られるか否かです。そして、決定的なのは、「カネよりも神を愛する」か否かです。

要するに、貧しい霊能力者や霊媒、超能力者、神秘家、キリスト教徒のみが信用できるのです。