老子曰く、「知ったかぶりは虚栄であり、精神の病理に由来する」。
無知は馬鹿にされる。博学は尊重される。しかし、誰にでも知らないことはある。知らないことがあっても恥ではない。
ところが、政治家はそう簡単にこの教えに従わない。無知だと思われれば選挙に落選する。なんでも知ってる芝居をする必要がある。
そこで、鳩山元首相は日米安保をよく研究したふりをした。
菅前首相は原子力の専門家を演じ、福島第一を滅茶苦茶にした。
野田首相は財政の専門家を演じ、おかしな増税にまい進している。
もともと民主党の議員は、まともな専門分野で実績をあげ、国会議員になった人の集団ではない。基本的には市民レベルの政治屋、駅前の政治屋、政治家に憧れてその準備に弁護士になった政治青年、組合の幹部、自民党体制では出世できなかった半端な野心家、中国/韓国/北朝鮮系の活動家、そういう反体制の傾向の強い政治家が多い。
当然、本来の民主党は原子力産業には反対、消費税の増税には反対、TPPにも反対、日米安保反対のはずです。(ただし、小沢許容の傾向があった)。2009年夏の政権交代の総選挙のマニフェストはそういう思想のもとで作成された。
ところが、怪しげな政治家、野田が総理になった途端に、体制、すなわち、自民党-官界-財界-親米勢力にすり寄り始めた。
野田首相は自民党の政策をどんどん取り入れた。そして、政権交代のマニフェストを踏みにじった、「待ったなし、待ったなし」と叫んで。
これは党内基盤の弱い野田首相が財界や官僚の支援を受けるためであり、勢いを盛り返した自民党の政策に迎合して蔭で支援を受けるためであり、つまり、自分の保身と利益のためであったわけです。選挙民・国民への約束、道義的責任には頬かむりをしている。
野田首相は与党になって、財政を1年半ほど勉強しただけで、増税による財政再建を振り回し始めた。自分で何十年も研究した成果ではない。財務省、日銀、財界の希望に沿っているだけです。
さらに、総選挙での惨敗が濃厚になったので、自民党と同じ政策を採用して有権者の目をごまかそうとの思惑も働いている。「自民も民主も同じですよ」、と有権者にアピールするつもりです。これで、自民に逃げる票をいくらかでも取り返せると思っている。
さらに、野田は原発事故で異常な指揮をとった菅首相の側に忠実に座っていた。異常な菅首相に危険も感ぜずに、違和感も感じずに黙々と菅に従っていた。これも少し異常です。
さて、問題は他の民主党議員です。
百年に一度の金融危機、千年に一度の災害・原発事故、20年に及ぶデフレ、さらに、90年代の後半に消費税を5%にして以来年間3万人の自殺、このような状況で消費税を5%から10%に上げるのは危険です。まあ、5%から5.5%に上げるくらいでしょう。
こういうことが340名の民主党議員全員が分からないとは思わない。そもそも増税は異常な菅首相が思い付きで持ち出したことであり、ほとんどの民主党議員は反対です。
世論調査からも250名の民主党衆議院議員は次回の選挙で100人になると予測されている。それは野田首相の政策に大きな理由があることは皆分かっている。
それなのに、野田首相を解任せずに総選挙に突入するなど、愚の骨頂です。民主党議員も頭がおかしくなった。
解決方法は9月の民主党代表選で野田を解任し、鳩山グループから新代表・首相を出すことです。そして、小沢グループを呼び戻すことです。
そうでなければ、愚かな野田首相に率いられて、民主党は総選挙壊滅に向かって進んで行くだけです。選挙後は、民主党の落選議員は、さらに国民から軽蔑されるでしょう。
一国の首相が、増税法案を通すために野党に国会の解散を約束するなど、許されない有権者への裏切りです。
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Tokyo