キリスト曰く、「神の言葉を聞いて行うのが私の兄弟・姉妹であり親族である」。
血は水よりも濃い。親子・親族の絆は深い。しかし、世の中の一族それぞれが他の一族と争えば成り立たない。
現代社会は個人としての市民と、公権力の関係を基本とする。ただし、日本では伝統的な家族主義・一族主義はまだ残っているが、公の場でそれが決定的に重視されることはない。
子は親から独立するものであり、兄弟は他人のはじまりである。生活保護を受ける前に親族の支援を受けろと言っても、親族と断絶関係・敵対関係にある例も多い。過去に大きな喧嘩をしていれば、親でも、兄弟でも危険を感じて経済的な支援はしてくれない。
基本は個人と公権力の関係です。税金も個人として払う。家族・一族としてではない。投票権も個人に与えられる。
(唯一の例外は皇室だが、天皇家は神道という宗教のトップでもある。宗教的に男系が条件であるなら、何百年さかのぼってでも血のつながりが必要。)
しかし、兄弟が東大の教師、国会議員、国務大臣をしているのに、その姉が生活保護を受けるというような場合は問題がある。
いすれにしても、血族というのは相続関係など、民法では法律上、重要な人間関係であるが、経済的、社会的、文化的、宗教的には、基本的に他人と同じである。
むしろ、同じ信仰心・価値観を有するものが「親、兄弟、姉妹」として人間関係を新たに築くのが正しい。
実際、社会でも人生目的を共有するのものが同志として家族以上の絆をもつものである。
家族、血族、同族優遇であれば、震災の被害者など関係ないことになる。自分の一族に被害がなければ、他人が津波で被害を受けても関係ないことになる。他人への支援など不要だ、ということになる。これでは、社会も国家も成り立たない。
ところが、リベラルな方向に行き過ぎると、家族の否定になる。子供は親ではなく、社会や政府が育て、何らかの思想教育を行おうということになる。夫婦別姓、男女共同参加、外国人参政権など、社会主義的に行き過ぎる場合がある。自民党と民主党の大きな違いはこういう点にもある。
自民党は現在にはそぐわない伝統的な家族主義に固執し、民主党は伝統的な道徳とは無縁な、危ういリベラルな社会を目指す。
答えは、隣人愛にある。愛のない支配だけの家族主義は好ましくもないし、社会主義・独裁主義に洗脳するためのリベラル教育も好ましくない。自由がなければ愛はないが、リベラル派には伝統的な体制への憎しみがある。これでは、子供の教育も任せられない。(リベラル派は男女平等と称してポルノまがいの教育もやりかねない。)
また、リベラル派が行き過ぎると、「日本列島は日本人だけのものではない」と本気で言い出す。中国人にも韓国人にも日本の土地をあげましょう、ということになる。そして、竹島は韓国にあげましょう、尖閣は中国にあげましょうということになる。
アメリカでもオバマの民主党は道徳・宗教から自由になろうとするリベラル派が多い。男女同権などでは成果があるが、ほとんど公序良俗の破壊のような例もある。また、民主党は労働組合を基盤とするので反日が多い(クリントン元大統領など)。ロムニーの共和党はキリスト教に熱心な市民が多く、家族的な価値を重視するが、富裕層を優遇する。また、中国への警戒感は共和党の方が大きい。
このような伝統的な道徳・宗教を重んじる人々と、そのような束縛を嫌い社会主義的な体制を好むリベラル派は日米で2つの政治勢力に分かれている。
政治とは退屈なものです。行政とは地味なものです。社会と人間の真の改革は政治家や役所に頼るのではなく、市民の一人一人が追及するものです。そこに、家族主義も、改革主義も新たな価値を発揮することになる。家族だけ閉じた世界は社会には迷惑であり、イデオロギーを信奉するリベラル派も道徳破壊で社会を混乱させるだけです。
日本ではこの3年間、民主党のリベラル政権が支配権を握っていました。半世紀の自民党支配の歪が少しは是正された面もある。しかし、尖閣・竹島・国後/エトロフ等の防衛すらできないようでは、退陣するしかない。
次の総選挙で下野したあと、もう民主党は復活することはないかもしれない。
(自民党は単独で衆議院の過半数241をとるのは難しいかもしれない。しかし、この3年間で民主主義の道徳を損なった民主党との連立は許されない。橋下グループは100議席は無理でも、自民党との連立を狙う可能性がある。しかし、自民党は橋下グループとは連立すべきではない。余りに人格幼稚な橋下をかつぐのは異常だ。橋下は家族主義でもリベラルでもない、個人的な損得主義にすぎない。)
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Mt. Fuji in August