2012年8月27日月曜日

敵を愛せ (戦争はするな)



キリスト曰く、「敵を愛せ」。

これは有名な言葉です。

逆に、この教えを守れない人々が、キリスト教徒に多くいることから、キリスト教を信用しない人もいる。

もし、欧米人が本当にキリスト教徒なら、この教えを守っているはずです。それなら、欧米には戦争など起きない。しかし、現実に、ヨーロッパ・アメリカの歴史は戦争の歴史です。

そして、どんなに戦争をして、どんなに国民が犠牲になっても、欧米各国や中国などが、日本の平和憲法のような戦争放棄を宣言することはない。

逆に、第二次大戦の敗北後、アメリカ民主主義に基づくさまざまな民主主義制度を導入し、しかも、占領軍の中の若い法律関係者の理想をベースにした「マッカーサー憲法」をうまく採用して、戦後、平和国家への転換をはかった日本ほど、キリスト教的な国はないことになる。

日本国の憲法9条では、まさに、「敵を愛せ」の精神の表れで、(侵略)戦争を放棄したのです。

アメリカでも、中国でも憲法は戦争を前提に構成されているのに、日本だけ、戦争放棄を前提として憲法が構成されている。それゆえに、戦後何十年もこの憲法は国民に支持され、改憲は行われなせんでした。ただし、この憲法が生き延びるには、それだけの背景事情があった。

1つは、そもそも、この憲法は占領用の憲法として、アメリカが考えたものです。アメリカは占領期間が終われば、いつでも日本は改憲すると考えていた。特に9条は、日本がさっさっさと破棄すると考えていた。

2つ目は、米軍の日本駐留の永久化です。強力な米軍が戦後もすっと居座ることになれば、極端に言えば日本の軍隊がなくても、米軍が完全に日本を防衛してくれる。日本人は9条できれいごとを言っておいて、危険な防衛・戦闘は米軍に任せる、そういう体制になっていた。

だから、むしろ、1950年代初頭の朝鮮戦争のころには、アメリカ政府は日本政府に憲法を改正して、正式に軍隊を持って、戦争ができるようにすることを期待していた。

3つ目は、自衛隊の創設、発展、レベルアップがスムーズに行われたこと。憲法に何が書かれていても、一国の自衛権は当然のものです。そのための戦力も当然、必要です。この考えのもとに、防衛戦争(自衛のための実力行使)のみを目的とする武力組織として、自衛隊が設けられた。

もちろん、日本は世界第二の経済大国として戦後、復活しましたから、自衛隊の実力はアジアでNo.1となり、世界でも、米ロ英仏ドイツなどにつぐ、事実上の軍事大国(非核ではあるが)となりました。核戦力以外で中国がほぼ日本に追いついてきたのも最近です。自衛隊は、それなりに強力な軍隊なのです。

問題は、それでも、国民は平和憲法を受け入れているということです。
日本国民は、名目的には戦争・軍隊の放棄国として、実際は、米軍と自衛隊で防衛する国として、日本が存続することを選択しています。

それは、如何に、戦前の軍部が国民の信用を失ったかということでもあります
昭和天皇陛下でも、戦前の軍部を懐かしがる発言は一切、されていない。軍部は天皇陛下ともども本土決戦で玉砕しようとしていたからです。天皇家にとって、頼りになるのは、戦前の軍部ではなく、アメリカの占領軍・駐留軍なのです・・・

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