2018年1月30日火曜日

日本の歴史の本質

「ヒストリアイ」というのは人類初のヘロドトスの歴史書のことだが、日本の歴史は世界の中でどう位置にあるか。人類全体でどのような位置を占めるかという観点も重要だ。

ローカルな日本の話だけに終わっては余り役に立たない。そのような歴史観はむしろ、日本の針路をあやまたせ、大変な悲劇をもたらす可能性がある。世界的に、ということは、欧米中心にということだ。キリスト教文明が世界の主流になった以上、その世界文明の中で日本はどう位置付けられているか、その存在意義は何なのかということだ。

欧米中心のキリスト教文明の前に、アジアでの日本はどうなのかということも大事だ。インド、中国という古代文明発祥の地から遠く離れて、その文明・文化を一方的に受容してきた日本はアジアでも大きな存在ではなかったが、中国の支配からは無縁であったということが大きな特徴だ。東南アジアはインド発の仏教、ヒンドゥー教、そして、アラブ発のイスラム教の影響によって独自性が希薄になったが、日本は仏教は中国経由で受け入れ、中国の道教も間接的に神道に反映されただけで、日本の独自の文化性は保持された。朝鮮が全面的に中国の儒教文化の影響を受けたのとは大きな違いがある。要するに、アジアでも日本はインド、中国の2大文明圏に対して独自性を維持していた。

西暦1500年頃にヨーロッパの世界進出が始まり、アメリカが発見され、世界中がヨーロッパのキリスト教国の植民地になった頃から日本の独自性が現れてきた。

インドや中国はヨーロッパ勢力に屈していくが、日本は切支丹受容、切支丹反発、鎖国、そして、アメリカの黒船に屈して開国、西洋化、近代化へと突っ走る。世界的に日本の存在の意義が明らかになるのはこの頃からだ。日露戦争に勝って、白人勢力に抑えられていた他のアジア民族に希望を与え、第二次大戦では結果としてヨーロッパ勢力を東アジアから追い出し植民地の民族独立に火をつけ、戦後は世界第二の経済大国となってG7で唯一の非白人国となった。この日本の影響で中国などアジアの近代化が進み経済も発達した。明らかに日本のおかげでアジア、アフリカ諸国はヨーロッパ諸国に対抗する経済力を得て、世界もリベラル・多様性の尊重など、ヨーロッパ・キリスト教文化以外の価値観を認めるようになった。アメリカの黒人の社会進出もこの影響の延長線上にある。まさに日本は20世紀の世界のために準備されていた国だということになる。


しかし、世界的には神は何のためにユダヤ民族を存在させているのかということが鍵だ。特にキリスト教が成立した後も、なぜユダヤ教徒は存続するのか、何のために4000年も生き残っているのかということは大きな謎だ。

2018年1月25日木曜日

歴史に見る日本の危機

日本の文明の発端は後期旧石器時代の黒曜石や縄文時代の土器というよりは、紀元前4~2世紀に埋められたとされる銅鐸だ。しかし、銅鐸は朝鮮又は中国南部からもたらされた。銅鐸は弥生時代のアジア大陸との交流を象徴しているが、明らかに日本の社会に階層の文化をもたらした象徴的祭器である。

紀元1世紀頃は稲作技術と共に銅鐸を伝えた渡来人が日本の中に入り込み、縄文以来の平等な日本の社会にとっては危機が生じていたかもしれない。次いで、朝鮮の白村江での唐・新羅との戦いの7世紀、そして元寇の13世紀、ヨーロッパからの宣教師と背後のカトリック勢力に対する警戒から徳川幕府が鎖国を行った17世紀、黒船に対する危機感から開国した19世紀、そして、アメリカ・英国などの包囲網に対する危機感から第二次大戦に参戦した20世紀と日本の社会は海外との関係において定期的に危機を迎えていた。

しかも、その間隔は銅鐸から白村江の戦いまで800年以上、白村江から元寇まで600年、元寇から鎖国まで400年、鎖国から開国まで200年、開国から太平洋戦争まで100年と間隔が縮まってる。今では、もう2010年単位で米ソ冷戦、日米金融戦争、中国との冷戦、北朝鮮の核・ミサイルなど日本は海外からのさまざまな脅威に直面してる。

しかし、日本人も座して海外からの脅威を待っているわけではない。バブル崩壊後、中国などの海外の安い労働力を求めた日本企業の海外での展開が顕著になっている。2017年の 財務省の発表によれば、日本の政府や企業、個人投資家が海外に持つ資産から負債を 差し引いた平成28年末時点の対外純資産残高が349兆1120億円となり、日本は平成3年から26年連続で世界最大の債権国となっている。

こうなると、もはや世界の危機が日本の危機になり、孤立した日本独自の危機というものは無意味になる。金融界では既に1990年代からグローバル化が達成され日本もそのプレイヤーとなり、米国発のリーマンショックで日本でも自民党政権が倒れ民主党への政権交代が起きた。しかし、民主党の政治家にはセンスも能力もなく国政に混乱をもたらした。

安倍政権が支持されているのは国際金融の研究に基づいたアベノミクスの成果だが、国際的な八方美人を演じているだけでは将来の国際的な危機には備えられない。


ただ、人類的な観点からは本当の危機は西暦26003200年になると考えられるから、まだ人類自体に余裕がある。それでも、今が大きな節目なのは間違いない。イスラム地域や中国が歴史的な使命感を持っていないだけに、日本人の自覚が重要だ。

2018年1月13日土曜日

天皇家とアメリカの影響

日本史、最大の謎は天皇家だ。なぜ、天皇家が2000年近くも続いたのか、そもそも、なぜ神武天皇が日本のトップに立てたのか、これが最大の謎。

1万年続いた縄文時代には天皇家はなかった。これは常識だ。しかし、弥生時代から古墳時代になるころに天皇家、大和朝廷が成立したのも事実。初期の稲作時代、銅鐸時代には明らかに天皇家の影響はない。しかし、銅鐸が埋められ、銅鏡・古墳時代になると中央集権体制が現れてくる。銅鐸も大陸・半島から伝わったものだが、銅鏡・古墳も大陸・半島の影響にある。ということは、天皇家も半島・大陸と関係があったと考えらる。九州の一部族がたまたま奈良に出てきたというのではない。大陸・半島の文化を背景に、縄文時代から脱したばかりの日本で勢力を拡大したと考えられる。

つまり、旧石器時代から脱して、縄文になり、弥生になったばかりの日本に、中国大陸の文化を背景に日本を制圧したと考えらる。中国では紀元前200年頃に秦帝国ができている。その後の戦乱時代に中国から逃れて、半島、日本にわたった一族、或いは、徐福の末裔なら当時としては進んだ文化的背景を持っている。そして、圧倒的な文化力・武器などで当時の日本の穀倉地帯、奈良盆地を制圧した。これが天皇家の始祖であると考えられる。

その後も朝廷は、半島の進んだ文化をもつ百済と密接な関係を保ち、他の豪族を文化的に圧倒する。白村江の戦いにわざわざ出兵して唐と戦わねばならなかったほど、天皇家と百済は密接な関係があった。しかし、敗戦後は朝鮮との関係を断ち、日本書紀・古事記で日本の独自性を主張する。そのときは、国内では天皇家の文化力による優越性は確立していた。

第二次大戦後、日本が180度国策を変更して親米になったのも、アメリカの圧倒的な国力・文化力にさらされた結果だ。明治維新の西洋化・近代化努力では追いつけなかった圧倒的なアメリカの科学・技術・文化力の前に、天皇家ですら親米一辺倒になった。今の日本の国情はまだこの延長上にある。しかし、まだ文化的にはユダヤ・キリスト教文化に追いつけないのに、それをベースとした憲法を改正するという危険な動きも出ている。

世界的には、なぜローマ帝国にキリスト教が普及したのかが根本的問題だが、やはり、キリスト教には圧倒的な魅力があったということだ。他の宗教とは格段に優れたメリットがあった。しかし、その意味を正しく理解している学者は少ない。


物事は圧倒的な差異によって動き、新しい秩序が打ち立てられる。参考までに言えば、物の違いが分からない人間はリーダーになるべきではない、させるべきでもない。

2018年1月2日火曜日

神の前では人間は平等

民主主義というのは神学に支えられている。バチカンでも法皇は枢機卿の投票によって選ばれる。人間は皆、神の前に平等である、従って、誰でもリーダーに立候補する権利があると考える。しかし、また誰にでもリーダーを選ぶ資格がある。よって、自由立候補、自由投票が正しいと考えられる。

しかし、古代にはギリシアやローマの共和制の例があるが、もっぱら優れた指導者に部族、国家の運命を託すのが最良であると考えられることが多かった。ユダヤ人ではまず部族の長であるアブラハムなどがリーダーになりました。そして、その子供たちに神の恵みが現れるとその権威は確立する。しかし、モーゼのように神が特別に選ばれる者もリーダーになる。キリストはリーダーとして神によって選ばれ、モハメットも神によって選ばれる。

バチカンはキリストが選んだペテロを初代法皇として成立された。しかし、その後、神が直接法皇を選ぶことはなかった。イスラムの世界でも、モハメットの後継者は神が選ぶことはなく、人間に委ねられた。これは、むしろ神の人間世界への介入については、民主主義は関係ないということだろう。神が人間の主人であるという考え方によれば、神が誰を選ぶのも勝手だということになる。

最初は優れた人間が王になっても、その子孫が優れた人間とは限らない。社会の発展とともに優劣の差もなくなる。ヨーロッパでもアジアでも王制は廃止され、或いは、形骸化し象徴的存在になる。しかし、選挙が万能ではないことはヒットラーの例などでも明らかだ。それでも、アメリカなどのように選挙プロセスを厳しいものとし、半端な人間は生き残れないようなシステムにするのが最善だということになる。

支配者グループの一員、又は、その代理人が選挙でも優位を占める。現代ではそのような候補者のイメージ作りを専門とする組織もある。政治・経済の支配グループがメディアを駆使して有力な候補者を作り上げる。それでも、民意を得ようとする以上、民主主義の統制下にある。中国のような非民主主義体制でも民意は最重要な因子だ。


しかし、古代イスラエルでは宗教知識、宗教儀式を独占した祭司や律法学者が人々に君臨する。神の名において絶対的な独裁をふるう。これが最悪だ。宗教も洗脳の一種だと言えるが、商業主義も人々を洗脳する。大金持ちのトランプがアメリカ大統領になり、アベノミクスを売り物にする安倍首相が信任されるのは要注意だ。