老子曰く、「“道”を体得した人物は、底知れぬ味わいがあって、その深さを測り知ることができない」。
日本人は「~道」という言葉を使ってきました。
武道から始まり、商道や人生道まである。もちろん、サラリーマン道や政道という場合もある。
これは、その専門分野をきわめること。何十年も1つの課題に取り組んで、その豊かな内容、世界との複雑な関わり、精妙な奥義、さらには、主体者である人間の理解及び人間精神と、その課題との相互深化を会得することも意味します。
これは、科学・技術・芸術・学問・技芸・スポーツ・経営・教育・政治などに限られない。人間の活動、関心分野の全てに有効な概念です。
「こういう時代に、ああいう人物が大臣・首相となれば、そういうことが起きる」。こういう判断ができるようになるには、相当、政治道を究める必要があります。
「こういう経済情勢で、ああいう政策をとれば、そういう大問題が生じる」。こういう判断ができるようになるには、相当、経済道・財政道を究める必要があります。
日本の経済問題は、全てグローバル競争と中国の低賃金が原因です。
1) IT技術の世界への普及、情報化/電子化によって、グローバル競争・国際競争が激化する。
2) 日本企業・米国企業はコストダウンのために中国の低賃金労働力を利用する。
3) 製品の低価格競争が世界中で始まるが、日本国内にも安価な中国製品が氾濫する。
4)
日本企業は国内ですら賃金引き下げをはかる。人件費節約のために、正社員を減らして、非正規従業員の採用をすすめる。
5) 日本国内の給与水準が下がる。GDPが下がる。所得税・法人税も下がる。財政赤字となる。
6)
他方、日本の大企業は低価格商品でシェア確保、人件費削減で収益確保、その他、コストダウンで内部留保拡大により、社員は安泰。
7) 日本政府は財政赤字を補うために、国債大量発行。
そこで、アマチュア政治家、菅前首相と野田首相は単純に消費税の増税を考えた。財務省の指導の下に。
しかし、問題はこの20年間のグローバルな技術・ビジネス・金融の動向と深くかかわっている。日本国内で増税すれば解決する問題ではない。
(なお、ギリシアは自国通貨を持たないこと、日本のように巨額の資産と強力な生産能力・技術力を持たないこと、また、膨大な米国債も保有していないことで、日本とは状況・条件が大きく異なる。最初に、ギリシアの話でパニックに陥った菅前首相が飛びついたのが消費税の増税案です。)
中心となる問題は、日本人の賃金低迷によるデフレであり、その要因はグローバル競争と中国の低コスト労働力である。ここから出発すべき。
さて、問題は民主党政権にこのような問題を取り扱う能力があるか否かです。
普天間問題、尖閣問題、大災害対応、原発対応、TPP取り扱い、消費税取り扱いを見ても、民主党には能力が欠如しているように見えます。
あるいは、野田執行部による小沢追放、鳩山処罰を見ても、思い上がった権力集団に堕したように見えます。
では、自民党はどうか。そもそも、年金問題の深刻さに圧倒されて阿倍政権が倒れたのが、自民党の凋落のはじまりでした。
その後、政権を失って、相当反省したはずですが、まだ、「増税スローガンで政権再奪取だ!」というあきれたメンタリティの谷垣総裁が勉強不足なのは明らか。総裁周辺も、まだ下野ショックの中にあるような中途半端な幹部ばかりです。
それでも、増税などという高度の政策は、素人劇団の民主党ではなく、専門家とも近い自民党に任せる方がまだ無難、そういう国民的判断がでてきてもおかしくない。
(人格未熟な大阪市長をまつりあげているのは、半分素人の保守政治家・評論家です。とても、世界第二の大国日本の政治はまかせられない・・・まあ、「なんとか一直線」のような漫画の中の世界か?)
A Railroad Station around Tokyo