2012年7月28日土曜日

水は天才だ。自由な形態をとる (憲法改正は天皇問題?)





老子曰く、「水は天才だ。自由な形態をとり、どこにでも入り込み、清浄にし、生命を与える」。

日本国憲法の改憲は簡単ではない。

日米安保条約、在日米軍基地、天皇とマッカーサー、東京裁判、南京事件、バターン死の行進、憲法9条、皇籍離脱、華族の廃止、国家神道廃止、こういう問題全てを解決しなければ、とても憲法の改正はできない。

南京事件は、たとえ4万人の処刑・殺害であっても、帝国陸軍が悪い。帝国陸軍は、「捕虜は取らない。捕虜は現場で処刑せよ」との命令を出して、中国内で作戦を遂行した。南京では3万人の捕虜等を処刑し、民間人1万名(?)を殺害したと言われる。

帝国陸軍は、「食料は現地で調達せよ」との命令を出して、中国農民・市民・住人から食料等を事実上強奪しながら作戦を遂行した。手向かう住民は処刑した。そもそも敵兵も農民も区別がつかない。従って、南京事件は、たとえ4万人の処刑・殺害であっても、帝国陸軍が悪い。一人でも中国住民に迷惑をかけた帝国陸軍兵士がいれば、陸軍大臣は更迭だ。

要するに、こういう問題の果てに、生み出されたのが日本国憲法なのです。

戦後、占領軍司令官マッカーサーは天皇陛下を助けたいと思った。

数百万人の残存帝国軍人を平和裏に支配するには、天皇陛下の協力が不可欠だった。米軍の占領上陸後に、天皇陛下が 「マッカーサーは私を戦犯に指定しようとしている。私を牢獄に入れようとしている。全国民はゲリラ戦を開始せよ」、と全国民に命令すれば、さらに日米数十万人の兵士、市民が命を失うところだった。

マッカーサーは天皇陛下に占領支配に協力させ、効率よく日本占領を完遂しようとした。そして、その功績で米国大統領に立候補しようとしていた。

他方、天皇陛下は、帝国陸海軍が自分まで玉砕戦に駆り立てるのに腹を立て、恐怖を感じた。一部の帝国陸海軍人は天皇陛下も米軍と戦って死ぬことを期待していることに気づいた。こんな狂信的な連中とは縁を切るべきだと、天皇陛下は思われたかもしれない。

ところが、占領米軍のマッカーサーは天皇陛下に尊敬を示し、占領政策への協力を依頼した。そのかわり、東京裁判では被告にしない。ソ連や中国などは天皇陛下を軍事法廷で裁けと叫んでいたが、占領に責任を有するマッカーサーは天皇陛下を救うことにした。東條元首相が法廷で全責任を負うことに合意した。

そこで、天皇陛下は帝国陸海軍ではなく米軍に身を守ってもらうことに決めた。日本の狂信的な軍隊など廃止しても、民主主義大国のアメリカの駐留軍が天皇陛下の安全を保障すれば、皇室は守られる。

すなわち、第二大戦後は、日本の軍隊ではなく、アメリカの軍隊が天皇陛下を守ることになった。今も在日米軍が天皇陛下を守っている。現皇室も自衛隊よりも米軍を信頼しているかもしれない。

これは、簡単に理解できない歴史の謎だ。

しかし、そもそも、ことは明治維新にさかのぼる。江戸時代では皇室は生活費にいたるまで徳川幕府の支配下にあった。江戸の将軍が大富豪で大統領なら、京都の皇族・公家は政治権力もない没落した宗教集団のようなありさまだった。京都の皇室・貴族には軍事力もない。あわれな状況だった。

それを明治維新で、薩摩・長州の下級武士・一般武士が皇室をかつぐことになった。皇室は薩長の下級武士などによって守られて、古代の栄光を取り戻した。そして、薩長の下級武士等が明治時代になって、政府を構成し、帝国陸海軍をつくった。つまり、もともと天皇家と帝国陸海軍は無関係だった。従って、第二大戦後は、狂信化しやすい日本人の軍隊ではなく、キリスト教的な民主主義の超大国アメリカの軍隊に守ってもらうのがベストだ、そう皇室が考えてもおかしくない。

実際、皇室周辺にはキリスト教徒が多い。歴代の侍従長、宮内庁幹部、皇室関係者にはキリスト教徒が多い。熱心なクリスチャンだったマッカーサー将軍をはじめとして、天皇家へのキリスト教の浸透は深い。皇后陛下も皇太子妃もキリスト教に近い。


そして、彼らは現行憲法に満足しているように見える。なぜなら、現行憲法はマッカーサー将軍のイニシアチブのもとで草案が作られ、帝国議会で審議・修正・可決されたものだからです。


こういう難しい問題を全国民が理解した上で、親米/反米の議論を尽くさなければ、改憲はすべきでない。

まあ、女系天皇などを認めれば、そのうち、連れ子の外国人も皇室に入り込み、気付いたら全く日本人の血をひかない中国人やロシア人、アメリカ人が、婚姻関係を通して日本の天皇になる場合もでてくる。そういうことも気にせず、女系天皇実現を促進する政治家が自民党にも、民主党にも、財界にも、財務省にもいる。

こういう状態では、むしろ、改憲議論は危険かもしれない。

古代からの日本の歴史を勉強し直してからだ。


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