孟子曰く、「上位にある者が礼を失い、下位にある者が学問をしなくなると、君主に背く賊民が勃興して、国家は滅亡する。」
古代中国の時代でも「国家の統治」ということが、人間社会の最大の課題でした。
国家に法と秩序がなければ、野蛮な暴力と流血の社会になる。殴り合いだけで、食物などの奪い合いが決着する。最後は人類全員が滅びる。
人間が文明を発展させるとは、人間集団、社会に法と秩序がもたらされるということです。エジプトやメソポタミアの古代文明、ヨーロッパ文明、インド文明、中国文明、インカ文明の全てが国家の統治によって発展したものです。
しかし、人間は腐敗する。王となり、国家の指導者となり、人々の上に立つと必ず人間は腐敗する。即ち、『礼』を失う。傲慢に振舞う。国家のリーダーとなりながら、質素に生きた者はほとんどいない。皆、大金持ちの暮らしをする。そして、腐敗する。
そこで、ヨーロッパ民主主義が生まれた。アメリカ民主主義が発展した。選挙で国のトップを定期的に変えれば、腐敗の程度は減る。日本にも第二次大戦後、全面的に欧米民主主義が導入された。しかし、古代中国の知恵が否定されたわけではない。
いや、むしろ日本が欧米よりも優れた国家、政府、社会を構築するには、欧米にはない古代中国の知恵を活用すべきでしょう。
もちろん、日本人もユダヤ教、ギリシア文化、キリスト教思想などを欧米人以上に学べば、ヨーロッパ系民族の上に立つこともできる。しかし、それには過去4千年の人類の歴史を背負う覚悟が必要です。アジアの東端にある日本の民族にはとても無理でしょう。それなら、アジアの思想・知恵をマスターし、その方向から世界のリーダーとなるべきです。
さて、日本の政治グループの中で、このような古代アジア、インド、中国の理想と哲学を尊重し、従っているのは誰か?
自民党か、民主党か、公明党か、みんなの党か、共産党か、小沢新党か?
日本の国民がどのような政治リーダーを選ぶかということは、人類の宗教的、哲学的、文化的な問題と結びついている、こういう考えも必要なのです。
単に、資本主義、市場主義、グローバル競争主義、財界主義、拝金主義、一国平和主義、愛国・国粋主義、社会主義、労働組合主義、反体制主義、親中主義、マルクス主義、暴力革命主義、そういう表面的な皮相な問題意識ではなく、人類の歴史とは何か、神とは何か、個人の生死とは何か、物質生活と精神生活とは何か、腐敗と正義とは何か、そういう人間の根本問題から日本の政治を考えるべきです。
そして、そういう意識がなくなると、「上位にある者が礼を失い、下位にある者が学問をしなくなると、君主に背く賊民が勃興して、国家は滅亡する」、ということになる。
さて、早ければ9月にも総選挙がある。9月に谷垣総裁の再選の可能性がなくなれば、谷垣は9月の総選挙を求める(参議院で消費税法案を通さない)。公明党も11月までには総選挙を希望している(全くの党・学会のマンパワーの問題)。民主党も来年の衆参同時選挙で、両院で敗北するのは避けたい。ただし、自民党は逆に来年の衆参同時選挙で、両院で勝利したいはずです。ここには、やや微妙な問題がある。しかし、国民有権者はもう十分待った。野田政権の能力・姿勢・レベルも分かった(十分低い)。早い方が良い。総選挙、国民の主権の行使は。
2009年に偉大な政権交代を達成した日本国民は、さらに、新たな偉業を求められています。
2009年には米国の(アフリカ系の)オバマ当選と匹敵するような、政権交代を日本有権者は達成しました。そこには、やはり、古代中国の思想、「上位にある者が礼を失い、下位にある者が学問をしなくなると、君主に背く賊民が勃興して、国家は滅亡する」が反映されています。
自民党が、役所の滅茶苦茶な年金取り扱いを何十年も放置していた。自民党のトップに 「礼・教養・哲学」
が感じられなくなった。自民党の若手が勉強しなくなった(自民の高級官僚出身の女性議員も非常識をむき出しにしていた)。麻生政権下で若者がナイフ・包丁を振り回す事件が続いた。そこで、日本有権者は政権交代を選択した。
つまりは、友愛というヨーロッパ式の理想を掲げた鳩山首相を選んだ。しかし、ヨーロッパ式の理想は日本では弱い。鳩山由紀夫首相は小沢元代表の日本的政治術に頼らざるをえなかった。
次に、市民派の菅首相を国民は受け入れた。しかし、これがとんでもない野良犬政治家だった。北朝鮮ともつながっていた。朝日新聞は菅直人を長年にわたって市民派ヒーローとして育ててきたが、東日本大震災と福島第一原発で馬脚をあらわした。国民に大きな損害を与えた。
そして、今や、自民党野田派といわれる野田首相の時代となった。さすがに、増税や原発再開という高度な政策は、素人劇団の民主党ではなく、プロの自民党にやらせようと多くの有権者は考えるようになった。
この流れの中で、しぶとくオザワる小沢新党、関西漫画の大阪市長ブームなどが世をにぎわせている。
しかし、本質は、「上位にある者が礼を失い、下位にある者が学問をしなくなると、君主に背く賊民が勃興して、国家は滅亡する」です。この常識を踏まえなければ、日本国は収まらない。
さもなければ、賊民、すなわち、暴力犯罪組織、オレオレ詐欺集団、ネット詐欺師、インチキ宗教団、不良企業、違法金融機関、粗暴犯、凶悪犯、スパイ工作員などが跋扈する。政治家は礼を研鑽し、有権者は政治・経済・文化を勉強することで、国家の堕落・腐敗を防止できるのです。
2009年の偉大な政権交代のあと、更にレベルを高めた政治的判断を行うことが有権者に求められています。欧米の民主主義以上の成果を出すために・・・
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